文学部プロジェクト
文学部には、分野を越えて取り組んでいる学際的プロジェクトがあります。
それは、1つの専門だけでは解決し得ない現代社会の諸問題に取り組みたい、解決に貢献したいという私たちの願いに基づいています。また、それぞれの専門を生かしながら、各分野の力を結集するプロジェクトの活動は、奈良女子大学文学部ならではの新たな学問を提案する、その原動力ともなっています。
現在、3つのプロジェクトがあります。いずれも、授業開講や、公開のフォーラムや研究会の開催など、活発に活動しています。詳しくは各プロジェクトのページをご覧ください。
1.「なら学」プロジェクト(人文社会学科)
1.「なら学」プロジェクト(人文社会学科)
なら学プロジェクトは、歴史を有した地域である奈良の社会や文化の特性を現代的視点から読み解き、その成果を外部に発信する新しい試みです。歴史学、地理学、考古学、社会学、文化人類学、民俗学、美術史など様々な分野が協同して、地元・奈良を研究し、それを教育や地域貢献にも生かしながら、地域学・地元学の発展に寄与し得るものを見つけていきたいと考えています。
2. 「ジェンダー言語文化学」プロジェクト(言語文化学科)
2. 「ジェンダー言語文化学」プロジェクト(言語文化学科)
ジェンダー(社会的・文化的・歴史的性差)の視点を用い、言葉や文学を読み解く方法を考える場を充実させるプロジェクトです。
3. 「差異と交感の人間学」プロジェクト(人間科学科)
3. 「差異と交感の人間学」プロジェクト(人間科学科)
「ひきこもり」や「小1プロブレム」であれ、あるいは「高齢者問題」であれ、はじめからそれ自体として問題が存在するのではありません。それを問題視するだれかの「まなざし」があってはじめて、そのような「問題」が存在するのです。だとすれば、一体なぜ、そしてどのような意味で「問題」とみなされるのか、という「まなざし」をめぐる問いを避けて通るわけにはいきません。「差異と交感の人間学」プロジェクトでは、こうした「まなざし」をめぐる諸問題を念頭に置きながら、人間存在とその諸次元(=身体、社会、歴史、超越的なもの、等々)に問いかけていきます。
刊行物
まほろば叢書
奈良女子大学文学部では、研究の活性化と研究成果の社会への広報を目的として、2012年に「奈良女子大学文学部〈まほろば〉叢書」を創刊しました。さまざまなテーマについて、年に1冊程度のペースで刊行しています。
奈良女子大学文学部〈まほろば〉叢書の発刊にあたって
全地球を覆う市場と情報のシステムが至るところで破び始めている時代にあって、「文学的知」はどのように行く手を照らす光となりうるだろうか。いかなる知であれ、その成果はけっして声高にではなく、明朗にして涼やかなる声で、発信されることをみずから望んでいる。いにしえより国の〈まほろば〉であった古都奈良の学府から、わたしたちは新しい声をあげたいと思う。人間のいとなみとその歴史について、また社会と言語にかかわる事象をめぐって、わたしたちはたゆみない考究と思索の実践、その交換と伝授につとめてきた。深い学理と精密な論証を必要としながらも、同時に人間的な肌のぬくもりや息づかいをたいせつしたいと願う知の研鑽こそが、わたしたち文学部が追求しているものである。そうした現場からうまれた、ささやかなしかし力の結集である成果をお届けしたい。(2012年2月)
まほろば叢書15竹橋洋毅 著
『モチベーションの社会心理学』(かもがわ出版)
まほろば叢書15竹橋洋毅 著
『モチベーションの社会心理学』(かもがわ出版)
序 章 モチベーションを科学する
第1章 やる気になる
第2章 困難を乗りこえる
第3章 主体的に取り組む
第4章 攻めと守り
第5章 誘惑に負けない
第6章 流されずにやりとげる
終 章 未来へ
まほろば叢書14狗巻修司・小槻智彩 著
『知的障害をもつ子どもの発達的理解と支援』
まほろば叢書14狗巻修司・小槻智彩 著
『知的障害をもつ子どもの発達的理解と支援』
はじめに
第1章 発達とは何か
第2章 障害と発達の関係
第3章 自閉症スペクトラム障害の特性
第4章 知的障害の特性
第5章 支援のなかで障害特性を捉える
第6章 子どもの「こだわり」を活かす
第7章 音楽で子どもを支援する
おわりに
まほろば叢書13浅田晴久 編著
『地図で読み解く奈良』
まほろば叢書13浅田晴久 編著
『地図で読み解く奈良』
はじめに
第1章 大和高原――巨石と茶畑の景観(浅田晴久)
第2章 奈良盆地――水環境をめぐる問題(高田将志)
第3章 奈良――都市化と周辺的都市施設の立地(石﨑研二)
第4章 大和郡山――都市空間の歴史(吉田容子)
第5章 生駒・天理・三輪――門前町の歴史地理(内田忠賢)
第6章 奈良市街――「地理総合」のモデル巡検(落葉典雄)
第7章 十津川――「母子の村」の130年(西村雄一郎)
おわりに
まほろば叢書12功刀俊雄・栁澤有吾 編著
『「星野君の二塁打」を読み解く』
まほろば叢書12功刀俊雄・栁澤有吾 編著
『「星野君の二塁打」を読み解く』
はじめに
第1章 星野君はどんな少年だったのか(功刀俊雄)
第2章 文学と教育があわさるとき(米津美香)
第3章 道徳の再構築に向けて(天ヶ瀬正博)
第4章 開かれた物語としての「星野君の二塁打」(栁澤有吾)
まほろば叢書11西谷地晴美 編著
『気候危機と人文学―人々の未来のために』
まほろば叢書11西谷地晴美 編著
『気候危機と人文学―人々の未来のために』
はじめに(西谷地晴美)
Ⅰ総論人新世と地球温暖化
第1章 気候変動研究をめぐる歴史(西谷地晴美)
第2章 ジェイムズ・ハンセン『地球温暖化との闘い』を読む(西谷地晴美)
第3章 人新世と気候の転換点(西谷地晴美)
第4章 オイディプスの杖と未来の人文学(田中希生)
Ⅱ各論人文学と自然
第5章 萬葉後期の自然観照――情調の表現をめぐって(奥村和美)
第6章 言霊と直毘霊――近代日本の自然概念(田中希生)
第7章 溶融する自然と社会――インドの大気汚染を事例に(浅田晴久)
第8章 「内なる自然」に再び向き合う(天ヶ瀬正博)
おわりに――気候危機と人文学(西谷地晴美)
まほろば叢書10高岡尚子 著
『「ジェンダー」で読む物語―赤ずきんから桜庭一樹まで』
まほろば叢書10高岡尚子 著
『「ジェンダー」で読む物語―赤ずきんから桜庭一樹まで』
はじめに
第一章「物語」とジェンダーの関係
第二章「赤ずきんちゃん」たちとの対話
第三章『きりこについて』(西加奈子)を読む
第四章『青年のための読書クラブ』(桜庭一樹)を読む
まほろば叢書9山辺規子 著
『甘葛煎再現プロジェクト―よみがえる古代の甘味料』
まほろば叢書9山辺規子 著
『甘葛煎再現プロジェクト―よみがえる古代の甘味料』
はじめに
第一章 歴史の中の甘葛煎
第二章 甘葛煎の再現実験
第三章 甘葛煎の分析
第四章 奈良と菓子
まほろば叢書8柳澤有吾 著
『パブリックアートの現在―屋外彫刻からアートプロジェクトまで』
まほろば叢書8柳澤有吾 著
『パブリックアートの現在―屋外彫刻からアートプロジェクトまで』
はじめに
第1章「彫刻のある街づくり」と「野外美術館」
第2章 都市のアート
第3章 外から内へ/内から外へ
第4章 アートプロジェクトの試み
まほろば叢書7齊藤美和 編著
『イギリスの詩を読む』
まほろば叢書7齊藤美和 編著
『イギリスの詩を読む』
はじめに
第一章 詩は写実する
シェイクスピアのエクフラシス
第二章 詩は喩える
エンブレムと読むジョン・ダン
ある日の授業風景その1 ―創作編―
奈良女生の創作エンブレム
第三章 詩は物語る1
〈取り替え子〉として読む『ゴブリン・マーケット』
第四章 詩は物語る2
「シャーロットの姫」にみる芸術する女の運命
第五章 詩は変奏する
居間に巣食う蛇嫁たちの唄
ある日の授業風景その2 ―実践編―
蛇を探せ!
図版リスト一覧
参考文献
作品と注釈
まほろば叢書6鈴木康史 編
『和合亮一が語る福島
―講演会・インタビューと奈良女子大生の福島訪問記―』
まほろば叢書6鈴木康史 編
『和合亮一が語る福島
―講演会・インタビューと奈良女子大生の福島訪問記―』
第1章 「福島に生きる福島を生きる」
――奈良女子大学文学部公開講座和合亮一講演会
第2章 「僕は震災では変わってないんです」
――奈良女子大生による和合亮一インタビュー
第3章 奈良女子大生による和合さん訪問記
――三年目の福島市から原発まで
まほろば叢書5小川伸彦・水垣源太郎 編
『ベネディクト・アンダーソン奈良女子大学講義
(付)討議記録「想像の共同体」論の受容と射程』
まほろば叢書5小川伸彦・水垣源太郎 編
『ベネディクト・アンダーソン奈良女子大学講義
(付)討議記録「想像の共同体」論の受容と射程』
第1部ベネディクト・アンダーソン奈良女子大学講義
アジアのナショナリズム
1 アジアのナショナリズム
――ナショナリズムの四類型に照らして
2 アジアのナショナリズムの特徴
――大いなる多様性
3 王位継承と女性
4 女性政治家とナショナリズム
――アジアとヨーロッパ
5 国境の問題
質疑・懇談会でのやりとり
第2部討議記録「想像の共同体」論の受容と射程
1 アンダーソンと日本
――受容のあり方から見えるもの
2 「生きられるナショナリズム」
――ナショナリズム理論の説明力をめぐって
3 ナショナリズムとジェンダー・身体性
まほろば叢書4鈴木広光 編著
『「徒然草」ゼミナール』
まほろば叢書4鈴木広光 編著
『「徒然草」ゼミナール』
第1章『徒然草』を「異文で読む」とは?
第2章語りと焦点化――その諸相
第3章変容する語りの構造
まほろば叢書3吉田孝夫 著
『語りべのドイツ児童文学』
まほろば叢書3吉田孝夫 著
『語りべのドイツ児童文学』
1 ホッツェンプロッツをドイツ語で
2 妖怪の故郷を語る
3 ハリー・ポッターと核戦争のあいだで
4 「ぼくはクラバート」――民話と名のり
5 辺境・賤民・ソルブの伝説――『クラバート』の背景
6 ゲームとしての人生
7 語りべとして――おわりに
まほろば叢書2浜田寿美男・麻生武 編著
『現場の心理学』
まほろば叢書2浜田寿美男・麻生武 編著
『現場の心理学』
第1章 子どもの育ちの現場で――発達心理学の視点から
他の人には見えない友人をもつこと(麻生武・筑田奈沙)
第2章 子育ての現場で――臨床心理学の視点から
日本とイギリスの子どもの育ちから見えてきた関係の多層性(土屋明日香)
第3章 法の現場で――法心理学の視点から
満員電車で痴漢と間違われた男の話(浜田寿美男)
第4章 生徒たちの現場で――ジェンダー心理学の視点から
なぜ少女はボーイズラブを好むのか(池田曜子)
第5章 日常の認知の現場で――認知心理学の視点から
心は現場にある(天ヶ瀬正博)
まほろば叢書1三野博司 編著
『授業の中で震災を考える―文学部の試み―』
まほろば叢書1三野博司 編著
『授業の中で震災を考える―文学部の試み―』
Ⅰ 共感の遠近法
「共感の遠近法」と「罪なき罪悪感」(柳澤有吾)
震災から見つめなおす人間と社会(天ヶ瀬正博)
震災とフランス文学(三野博司)
Ⅱ 歴史に見るフクシマ
戦後日本政治と原子力
――ヒロシマからフクシマへの必然(小路田泰直)
震災と娯楽――文化に何ができるのか(鈴木康史)
日本古代の震災記事(舘野和己)
Ⅲ 脱原発は可能か
東日本大震災で、日本の社会は変わるのか(栗岡幹英)
震災とスポーツの奇縁(甲斐健人)
研究刊行物
奈良女子大学文学部における研究・教育成果を発表する紀要をご紹介いたします。
各紀要に掲載された論文は奈良女子大学学術情報リポジトリにて保存・公開されています。ご覧頂く際は、本学学術情報センターの「蔵書検索」のページから、「リポジトリ検索」→「コレクション一覧」→「文学部」→「研究紀要」と進んで下さい。